Voltage Controlled Phase Shifter の製作(その1)

2016年11月19日に行われた第16回アナログシンセ・ビルダーズ・サミットへの参加前後、Voltage Controlled High Pass Filter、CV/GATE Buffer、Echo、Fixed Filter Bank を製作し、更に Phase Shifter を製作しました。
ここでは、実際の製作順ではありませんが、Phase Shifter の製作について、先にまとめておきます。

回路の選定

フェイズシフタについては、多くの作例もありますのでそちらを参照してください。
特に 武田氏によるweb page は、参考になります。
殆ど全ての作例で採用されているのは、1次の微分型 APF(All Pass Filter)です。
私も、当初は1次で考えていました。
当初考えたものは、下図のものです。


これは、1セル単位では、トランジスタ1石で構成された恐らく最も簡単な回路になるでしょう。
moog のモジュラシステムにある bode frequency shifter で使用されていますが、位相のシフトは固定です。
オペアンプを使用して同等の回路を構成しようとすると、オペアンプを2個必要とします。
トランジスタを使用した場合、スペースファクタが最も小さくなると思われます。
初期の段階では、この回路と次に掲げる回路とを比較しました。


この回路は、非常に作例も多い実績あるものです。
近著の岩上氏、伝説の山下氏も電圧制御抵抗素子(VCR)に違いがあるものの(岩上氏は FET、山下氏はアナログフォトカプラ)、同等の回路を構成しています。
前述の武田氏も web page で公開されている回路はこれで、VCR には LED + CDS を使用しています。
また、実際に市場に出回っている製品でも、採用している回路はほぼこれです。
それだけに、資料も潤沢です。
先のトランジスタ回路と比較しこれに決めかけていましたが、ある方からの一言で一転、2次 APF に挑戦することにしました。


2次 APF です。
上記2種類と違うのは、セルを構成するCRの多さであり、VCR を必要とするのが4箇所になっていることです。
2次なのですから、CRが増えるのは当たり前のことですが、オペアンプは1個で済みます。
市販のギター用エフェクタでは、1次4段から6段が一般的で、スタジオ機材では、6〜12段になっているようです。
今回は、この APF を基に、同じ回路を4段シリーズにします。
1次の8段に相当します。
これに、4段・6段目からもタップを出し、4・6・8段を選択できるようにスイッチを設けました。

(続く)